札幌高等裁判所 昭和25年(う)660号 判決
よつて調査するに被告人も共同被告人の羽入真も共に原審第一回公判廷に於て「被告人等は共謀の上原判決の判示日時場所で判示の狐皮六十四枚を窃取した」との公訴事実につき事実はその通り間違ないので申上げることはないと述べて居るし原審公判廷に於ける被告人及び右羽入真の供述によると二人は近所に住んでいるため早くからの知合であり犯行当日も二人で午後六時三十分頃から狸小路の盛り場などを歩き廻り午後十時三十分頃判示組合事務所の玄関口え行き羽入が玄関口から屋内に人り梱包した狐皮一包を持出すや玄関口に居た被告人がその品物につき何等問いただすこともなく即時俺が背負つて行くと言つてその包を背負い自分の知人宅迄持つて行つて預けた上翌日更に羽入と二人で盗品を被告人の知人白川某方え運びこれを売却しその代金のうち白川と三人で飲食費に使つた残高は羽入と折半したものであつて以上の事実に被告人の司法警察員に対する第一回供述調書中「羽入は何かないかと言うてこの会社の事務所に入つて行き南京袋入の毛皮を一個盗みとつて来た」旨の供述部分とによると少くとも羽入が判示事務所内え入つて行くときから被告人と羽入との間には本件犯行につき互に意思の連絡があつたとが認められる。然るところ犯行に際し又はこれに先立ち共同犯行につき意思の連絡がある以上仮令犯人相互間に謀議をこらした事実がなくても所謂共謀による犯行というに妨げなく従つて実行行為を分担しなかつた者と雖共同正犯として其の責を免れないものである。それ故本件窃盗を共同正犯と認定処断したのは相当で記録を調べて見ても事実を誤認したとは認められない。